エクスマキナ

 

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シネマカリテで"サウルの息子"を鑑賞した時以来、映画館に行っていなかった。
特には理由などないが、おそらく、学生から社会人になるという
環境の変化に伴う心境の変化、若しくは心境の変化に伴う環境の変化から、自然と足が遠のいていたのだろう。
 
久しぶりに見た映画は、エクスマキナだ。

 

 
この映画は人工知能(AI)のシンギュラリティがテーマの話だ。
シンギュラリティ関係なく、
人工知能が登場する映画といえば
『A.I』
『アイロボット』
『her』
と挙げてみれば、誰しもが知っている映画だ。エクスマキナはどれとも共通点があるようで、答えはどの作品とも異なり、リアルである。
 
また、人口知能に関して身近な例を挙げると、
Microsoft社の面白ボット"りんな"や、ヘイトツイートで問題になった"tay"などが有名だろう。
また、航空券の検索サービス「スカイスキャナー」が、
Facebook Messengerのチャットボットをリリースしたのは
あまりに最近のニュースである。
このようにAIと容易に接触できる世界になりつつあるが、
当映画"エクスマキナ"は、もう少し未来の話である。
 

あらすじ

 

世界最大のインターネット会社「ブルーブック」で働くケイレブが
社長であるネイサンの別荘に1週間滞在し、
女性のロボット「AVA」を対象に人工知能のテストを行うところから物語が始まる。

 

 
(バチボコにネタバレ含みます。
個人的に好きなジャンルに好きな世界観、好きな設定、好きなオチだったので批判的な意見はせずに恣意的に賞賛しています)
 
 
今回レビューを書くのは初めてなので、私が面白さを感じたところをかいつまんで述べる。
また、自分の知見、他人のレビュー、考察サイトを見た後で肉の付いた自分の知見が織り交ぜられているが、
気にせず読んでほしい。
 
 
1,神話から、紐解くエクスマキナ
2,ケイレブの優しさ
3,日本語字幕と英語
4,その他
5,デザイン
6,最後に

 

 

1,神話から、紐解くエクスマキナ

 

チューニングテストを"一週間"、"AVA"という人口知能に対して行う。という内容から、アダムとイブ"ava"が登場する旧約聖書「創世記」において、
神が七日間で世界を作った"天地創造"と、
 
少なからず因果関係があることは、おおよそ想像つくことだろう。
7日目でAVAが地上に出て、その後、影で群像を映すシーンがある。
そこでは"AVA"を生んだ神と等しいブルーブックの社長ネイサンと同じ人間とAVAには何も違いがない。
そして"ガラス越し"に映るAVA。
 
 

2,ケイレブの優しさ

 

ケイレブの性格の良さについて、ネイサンの口からも語られるが、それは一日目からも理解できる。
ネイサンがケイレブに、”もっとストレートにAVAに対する感想”を、求められた時に、
初めて"facki'n"という言葉を取り入れていた。その時以外では、
比較的、ネイサンの前では公私混同せず、正しい言葉や仕事に関連する話を選択し、発言していた。それだけ真面目な青年なのだろう。
(ケイレブがキョウコに「ネイサンどこいった!?」って聞いた時にキョウコが勘違いして脱ぎだした時はさすがにOh,Fuck!って、言ってた)
日本人の私からして見れば1単語1単語に面白みを感じるし、興味深さを持つ。
 
 

3,日本語字幕と英語

 

最終的には、人間であるケイレブが施設に閉じ込められ、AIであるAVAが外に発つ。
字幕では、AVAが『ここにいて』と言い、人間のように肌を身につけ、ケイレブを閉じ込める。
話の流れから見れば、最初にAVAが人間のように着替える際に、ちょっと目を閉じててと言った経験を思い出し、
これから一緒に出るのでは?と思ってしまう。が、実際は先に述べたように、AVAだけが外に出る。
これは佳境に入る前に、
ネイサンが『愛するか、愛さないかだけと考えていたが、第三の選択肢として、愛しているフリをしているだけというのもあるのではないか』
という問いに対するアンサーではないのかと思える。
しかし、英語だけを聞くと閉じ込められる前、
気絶から目を覚ました時に、
 
ケイレブ : What's happend?
AVA:Will you stay here?
ケイレブ:Stay here??

 

 
というやりとりをしている。
これを読むと、ケイレブが聞き間違った為、
ケイレブが返答を誤った為に生まれた事故だと考えられる。
これに対しては、
調べてみたら海外では色々議論が起きていた。
字幕を見る事によって小説のごとく決まり切った文言内から情報を紐解こうとするが、
字幕なしでは、表情や喋り方だけで判断しなくてはならない。
その為、「AVAはまだ機械だから足りない点がある」と言った事が議題によくあがる。
 
同じ映画なのに字幕(日本語)と英語だけでここまで違った視点の意見が生まれる事がすでに面白い。
 
 

4,その他

 

一日目にケイレブとAVAの接触する。その他別荘の案内だ。

ケイレブと"AVA"の接触するシークエンスでは、

AVAとケイレブはガラス越しの部屋で対話を図るが、

ガラスにヒビが入っていたりと、懐疑心を肥大化させる。

しかし、ケイレブはAVAと対話をする事で、そんな事など忘れてしまい、

目の前にいる女性型AIに興味津々となる。

ここでケイレブはAVAに年齢を尋ねると"I'm ONE"と答えるが、このONEとは何なのだろうか。

これを推測するに、ただのAI(人工知能)ではなくAVAがAVAたる故ののONEではないだろうか。

人間には個性があり、一人一人がONEとして活動している。

つまり、AVAも人間のようにONEである存在への願望からONEと答えたと考えられる。

ONEに置くアクセントも非常に強く、英語の苦手な私にとってもこの"ONE"に対する彼女の想いが十二分に強いことは感じ取れた。

また、余談ではあるが、AVAはケイレブの質問に対して"I don't know"と口にする。

外国で女性をいじり倒すとよく使われたなあとか思い出した。

 

5,デザイン

 

デザインに関しても他の作品と画一すべきところがある。
まるで、雨の日に車の窓を伝う水滴が最も効率的な道筋を辿るかのように、
作品を通して最適解のみを答えた完成されたデザインのように思えた。
批判しようにも私のレベルでは到底できない。
 
 
タイトル

 

タイトルデザイナーはmutt cacis氏。
少なくとも誰しもが知っている作品を幾つも手がけているデザイナーだ
 
 
彼がこの映画でデザインしたフォントは一目みてFuturaを根幹にしたfontをデザインだろうと思った。
まず、Futuraには幾何学的、未来的、無機的といった意味がある。
さらに映画の世界観と合わせるようデザイン。まるでメディアアートかのように思えるインタラクションのあるクレジットへと変容させている。
(あの表現をパーティクルとしか表せないので適当にごまかしています)
オープニングクレジットで映画に没入することはよくあることだが、
タイトルを見ただけでここまで惹きつけられたことは初めてのことだった。
 
色に関してはいろんなレビューを見て気づけたのだが、
#255,0,0 #0,255,0 #0,0,255 #0,0,0 #255,255,255
が景色、装飾により誇張されていて、webカラーの原則が表現されていた。
 
ウェブサイト

 

ウェブサイトに関して特に書かれていたブログがなかったので書いていく。
 
 
海外のex machina
 
日本のエクスマキナのサイトいけてないやん。とか思うかもしれない。
また同じ作りのサイトかよ。とか思うかもしれない。
heroにcenter配置されている_CASTとかの文字。ゴダールかて!とか思うかもしれない。
けどデザイナーが本当にこのサイトを作りたくて作っている、とは私には思えない。
bgでウネウネ動くparticle。これにはcanvasを用いている。
決まり切ったデザインの中でクリエイティブをするなら、あまり、文句をつけられない静止画ではなく、
canvasにしているところから本当はこのサイト作ったデザイナーはもっと手を加えたかったのかも知れないと考えられる。工数であったり、クライアントの要望からこんなデザインになったのかもしれないと私は考えたい。
 
かわって海外の方。
 
スクロールをしていくとparallaxとか文字の組み方とか、個人的に好きなデザインでした。
映画の世界観にマッチしたフォント。
さらにAVAがケイレブを描いたように、自分の顔を描いてくれるサイト
 
ネイサンの会社であり、ケイレブの働いている会社の検索エンジン
 
がある時点でどれだけ、クリエイティブなのかうかがえる。海外で働きたいなあ。
 
それに
 
インスタグラム
 
これにもデザイナー雇ってますよね。
けど小藪のが6500倍もフォロワーいるよね。
 
まるで映画のキャラクターかのように、エクスマキナに没入できる。
 
て具合に見所満載でした。
 
私は普段、映画は観る前と観た後、レビューサイト、トレイラー、公式サイトなど、その映画に関わる全ての人々を含めて1作品と、考えている。
その点を加味してもこの作品は私にとって
最高なのである。
 
 
 

6,最後に

 

いろんな視点から観れるし、いろんな角度から話し合えそうな最高の映画だった。
検索エンジンの活用方法についても沢山話せるし、
ネイサンの頭の傷はネイサンとしての傷なのかオスカーアイザック自身の傷なのか気になるし、
AIはどこでAIだと自分が判断するのか、
AVA以前のAI、キョウコ、
ネイサンの頭の良さ
ケイレブの変化などなど。沢山考えたくなる点がある。
 
だが、どの映画にも言えるんだけど、没入しすぎて、現実に戻ってくるまで
時間がかかりすぎるので、
あまり映画を観ない私にとって
映画とは怖いものである。
その場だと面白いしか言えなくなる。。。
 

最後に、、、

ダンスシーン可愛かったです。

www.youtube.com